プレスリリース作成で気を付けたい表記のより所ってどこ?

こんにちは!「思いをカタチに」をテーマに、作り手の思いを届ける翻訳家、KEIKOです。 年間100本、通算1000本超のプレスリリースを制作している現役のPRマンです。 プレスリリースを作成する際に「表記」に迷うことはないでしょうか?今回は表記に迷ったとき、その目安となる「より所」についてお話したいと思います。

こんにちは!「思いをカタチに」をテーマに、作り手の思いを届ける翻訳家、KEIKOです。
年間100本、通算1000本超のプレスリリースを制作している現役のPRマンです。
これまで、文字校正に関する記事でも「表記」についてご紹介させていただきましたが、今回は、プレスリリースを作成する際に気を付けたい「表記」について、その目安となる「より所」についてご紹介したいと思います。

「より所」つまり、迷ったときに立ち戻って確認する場所、これをもって置くことをオススメします。

 

まず、誤用はあってはならぬ。

プレスリリースに日本語の誤用はあってはならぬものです。

プレスリリースは、メディア向けに発信するツールですが、メディアはその情報を元に、記事や番組を作成します。
プレスリリースにある文言をそのまま使用することも多々あります。

日本語には、本来の意味と違って使用されていいる言葉がたくさんあります。
わかりやすい例に「ヤバい」があります。
「ヤバい」は、本来状況の良くない時に使う言葉でしたが、近年とてもステキだという意味でも「ヤバい」は使われます。
さすがに「ヤバい」をプレスリリースでは使うことのないですが、このような、本来の意味と異なる意味として使われる言葉は日常の中にたくさんあります。

ある人から見たら誤りだったり違和感だったりするものが、別の人からみたらなんとも思わない、といった言葉がありますが、
プレスリリースでは、読み手によって見解が異なってしまう表現は用いない方が良いと思います。

このような読み手によって見解が異なる表現がある一方で、あきらかな誤用を目にすることも残念ながらよくあります。
誤用されやすい言葉を見てみましょう。

「小春日和」は春を指す言葉ではありません。
2月や3月初旬のあたたかな陽気の日に使いたくなりますが、この言葉は、秋の終わり頃から冬のはじまり頃の春を思わせるようなあたたかな日を指す言葉です。
リード文なんどで、陽気に触れる際には、注意が必要です。

「さわり」は冒頭の部分を指すことばではありません。
「さわりの部分をお話しますと・・・」と使われるのを目にしますが、「さわり」は本来は一番盛り上がる部分を指します。つまり、クライマックスのことを指す言葉なのです。

「過半数を超える」という表現も何気なく使われていますが、誤用です。
「頭痛が痛い」と同様に、「過半数」ですでに半数を超えているので、重複表現になっています。
「過半数を占める」、「過半数にのぼる」などの表現が良いと思います。

これらの誤用は、残念ながら、TVなどのメディアでも見受けられます。
そのため、見ている側もそれが誤用と気づかずに認識してしまうことも多くある一方で、誤用と認識する人もいます。

繰り返しになりますが、プレスリリースでは、このように読み手の認識が異なってしまう表現は避けるのが懸命かと思います。
新サービスや新製品の開発秘話を語る場合に使いがちな「白羽の矢が立つ」という表現も、犠牲として選ばれるというかつての意味と、多くのなかから特別に選ばれるという現代の意味の両方がある言葉です。
どちらが誤りということではなく、情報を発信する際には、発信するニュースにフォーカスしてもらえるよう、それに濁りを与えてしまうような、異なる意味合いで捉えられてしまう表現は、別の表現で置き換える方が良いように思います。

 

難解な漢字はご法度。

プレスリリースでは、ルビ(フリガナ)をふらないと読めない難しい漢字を使用することは避けた方が良いです。

基本的な考え方としては、常用漢字外の漢字は使用しない方が良いと思います。

旧字体も好ましくないです。
というのも、記事化された時に表現できないことがあるからです。

webでは旧字体は「環境依存文字」となり、きちんと表示される場合とされない場合があります。
新聞でも、表記のレギュレーションがあり、難解な文字は使用できないことが多くあります。

常用漢字であれば、これらのしんぱいはありません。
旧字や難解な漢字は、情緒感を表現するのに役立つこともありますが、プレスリリースにおいては、常用漢字以外の漢字は使用しない方が良いでのです。

 

お上のルールを重んじよ。

ここでいう“お上”は、行政などではなく、クライアントです。
ご自身が企業の広報だった場合には、そのご自身の会社の表記のルールです。
プレスリリースを発信する主体(クライアント)のルールをきちんと理解しておくことは大切です。

ブランドや企業によって、独自の表記のルールがあることがあります。
漢字の閉じ開き(漢字で表記するか、ひらがなで表記するか)や、カタカナ語の表記など、
表記の誤りではなく、ブランドや企業での表記に関する決まりがよくあります。
これまで多くのクライアントさんのプレスリリースを作成する中で、独自の表記ルールのあった言葉についてご紹介したいと思います。

下記の例は、表記の統一についてご紹介した記事でも触れましたが、独自のルールが発生しやすい言葉です。

「このたびは」:「この度は」と表記できすまが、ひらがなのみで表記することが多いです。
「いたします」:「致します」と表記できますが、ひらがなの方が丁寧な印象をあたえるとの見解があります。
お客さま」:「さま」を「様」としない、というルールの企業もありました。
「ウィンドウ」:「イ」か「ィ」か、企業様によって表記のルールが異なりました。
「子ども」:「子供」でも誤りではないですが、近年「子ども」と表記することが多いようです。子が大人に供するものではないという見解からのようです。
「友だち」:「友達」と表記することもありますが「子ども」同様に「達」での表記が減ってきている印象です。意見が別れる表記でもあるので、私は、プレスリリースでは「友人」という表記を提案しています。

カタカナ語については、作成するプレスリリースの発信の主体(企業、ブランド)と相談しながら決めていくのが良いかと思います。

「スマートフォン」か「スマホ」なのか「スマートホン」なのか。
「サスティナブル」か「サステイナブル」なのか。
「ウェブ」か「web」か、「公n式ホームページ」か「公式サイト」か。

これらの表記のルールがある場合には、それが表記に迷ったときの「より所」になりますし、ない場合には「より所」を作っていくのが良いかと思います。

 

まとめ

文字校正に関する記事でも触れさせていただきましたが、誤りのある文章は信頼感を欠いてしまいます
プレスリリースにおいて信頼感の醸成はとても大切です。
まず、日本語の誤用はないように、難解な漢字や表現でニュースを曇らせないように、そして、発信の主体の表記のレギュレーションに従う。

同じ発信の主体のプレスリリースを複数書く場合にも、これまでのプレスリリースとの整合性は必要です。
名称や、呼称などが都度変わってしまうと、信頼感の揺らぎに繋がってしまうこともあります。

書き進めていく中で表記に迷った時に、立ち戻って考えることのできる表記の「より所」を持っておくことをオススメします。

表記についてヒントとなるポイントは、
下記の文字校正に関する記事等でもご紹介しています↓↓↓

「文字校正っていったい何だ?」

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「文字校正って何に注意すればいいの?」

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