【妄想トレイン】妄想で旅する番組に学ぶ、コミュニケーションに大切な「伝える力」

コミュニケーションで大切なのは、自分の頭の中にあるものを、いかに相手に的確に伝えるか。コロナ禍の中始まった、妄想旅の新番組から「伝える力」を学びます。

こんにちは!元テレビマンで二児の母、じゅりちゃんです。

ところで皆さん、まだまだコロナウイルスの影響が予断を許さない状況の中、どんな生活をされていますか?手洗いと消毒をしっかりする、極力、人混みに行かない、できる限りテレワークする、など、創意工夫して生活することが求められていますよね。

そんな中、「妄想で電車旅をする」というテレビ番組が、6月からBS日テレで始まったんです。
これは、中川礼二さん、友近さん、久野知美アナが、スタジオで、時刻表を片手に「ただひたすら、旅を妄想する」という、思いっきりリアル旅を楽しみづらいご時世にマッチした番組です。

旅に行かずに、電車に乗らずに、どうやって視聴者にその魅力を伝えるのでしょうか?
今回は、この番組を例に「伝える力」について、掘り下げてみたいと思います。

「妄想トレイン」から学ぶ「伝える力」

その場にないものは、なるべく言葉よりもビジュアルを!

番組を見ていて、ビジュアルを多く使うことで、相手の理解が進むことに気付きました。
通常、旅番組といえば、タレントさんが電車やバスに乗り、ぶらりと観光地を訪れ、食べ歩きなどを楽しむというつくりが多いです。
絶景の中を走る電車。
湯気の上がる美味しそうな浜焼きの物撮り。
沈む夕日を眺められる温泉。

いわゆる「画力(えぢから)」のあるものばかり。

妄想トレインでは、礼二さんも友近さんも旅はしません。スタジオにいて、旅の目的地と、そこに向かうために乗る電車の話をするのですが、だからと言って臨場感がないかというとそうでもないのです。
旅は時刻表と路線図に沿って進められます。スタッフさんが撮ってきたであろう発車シーンや、山間の緑の中を走る電車、途中モーニングを食べるオススメの喫茶店のメニューなど、ビジュアルをふんだんに使うことで妄想を手助けしてくれます。
お店の人と絡んだり、道行く人に声をかけたりと、通常の旅番組にあるやりとりはなくても、十分に妄想を掻き立てるのです。

百聞は一見にしかずといいますが、その場にないもの、もっと言えば、開発前の草案など、まだこの世にないものの話をするときにも、極力ビジュアルを多く使ったほうが、相手の理解が進むのです。

阪急電車の独特な色「マルーン」も、ビジュアルがあれば一発で伝わります。

1人よりも複数人のほうが話がふくらむ!ツッコミ役を押さえよう

例えば会議などで、一人でプレゼンをした経験がある方も、多いのではないでしょうか。会議までいかなくても、誰かを説得したい場面で、一人で話を進めるというのは、TEDのスピーカーや、オリラジのあっちゃんくらいの話力がないとなかなか難しいものがあります。
そんなとき、頼りになるのは、「相方」つまり、ボケとツッコミの、ツッコミの方です。
何も漫才をやるわけではなく、「客観的な目線」をフォローしてくれる人がいると、わかりやすい話になるのです。

いろいろな役割が協力することで、説得力が出る

 

例)「Aはケーキを食べに行きたいので、乗り気でないCを説得したい。」

一人だけで説得しようとするパターン

A:このお店のケーキ、とっても美味しいんだよ〜。イチゴもすごく大きいの乗ってるんだよね。
 
C:でも私、イチゴは酸っぱくて苦手で…。
 
A:大丈夫、超甘いイチゴだから!子どもでも食べてたよ!
 
C:だけど、ケーキって太っちゃうでしょう?私、ダイエット中だから…。
 
A:大丈夫だよ〜、ここのケーキ、カロリー低いし、今日くらいケーキ食べても、また明日から頑張ればいいじゃなーい!
 
C:…
 

さて。Cはおそらく「行かない」と言うのではないでしょうか。
Aの誘い方は少々強引に感じます。

では、ツッコミ役のBが参戦するとどうなるか、見てみましょう。

役割分担して説得しようとするパターン

A:このお店のケーキ、とっても美味しいんだよ〜。イチゴもすごく大きいの乗ってるんだよね。
 
B:このイチゴ、〇〇っていう珍しい品種で、■■県でしか栽培されてなくて、めったに地元以外で食べられないそうだよ。
 
C:でも私、イチゴは酸っぱくて苦手で…。
 
A:大丈夫、超甘いイチゴだから!子どもでも食べてたよ!
 
B:糖度は20度でバナナ並、品種改良で酸味を抑えてあるから、1歳のうちの子もぺろっと食べられたよ。
 
C:だけど、ケーキって太っちゃうでしょう?私、ダイエット中だから…。
 
A:大丈夫だよ〜、ここのケーキ、カロリー低いし、今日くらいケーキ食べても、また明日から頑張ればいいじゃなーい!
 
B:ここのケーキは、砂糖じゃなくて、羅漢果というカロリーゼロの天然甘味料を使っていてヘルシーだし、クリームも植物性だから、普通のケーキに比べてカロリーが半分だそうだよ。
 
C:…
 

Cはおそらく、「ちょっと行ってみたいかも」という気持ちになっている気がします。

主観と客観のバランスが大事

ちょっと極端に書きましたが、Aは本人の主観を話していて、Bは客観的な視点で説明をしています。
Bが加わることで、Aの話に説得力が増しました。

それでははBだけでCを説得すればケーキの美味しさが伝わるかというと、ちょっと難しいかも知れません(会議のようなカッチリした場面では、Bだけのほうがいいことも多々ありますが)。

このように日常生活では、主観と客観のバランスが必要です。
さらに、一人で行うよりも、複数人で役割分担したほうが、聞き手にとってストンと入ってきやすいのです。

 

妄想トレインでも、役割分担がされていることでイメージがうまく伝わってきます。

出演者は皆、基本的に鉄道や旅が好きな人達ですが、それぞれに役割があると分析しました。

 

■礼二さん&鉄オタのゲストさん=鉄道オタクとして知識を披露。

■友近さん=鉄道オタクではないが旅好きの人として、礼二さんたちの話がマニアにしかわからないようになるのを防ぎつつ、モノマネで妄想にアプローチ。

■土地に縁のあるゲストさん=その放送回に訪れる観光地のオススメ情報を提供。

■久野アナ=数字や公式情報を使って、妄想旅をフォロー。

 

見る限りではこのような役割分担をすることで、鉄道について深い知識がある人も、そうでない人も、旅によく行く人、行かない人、いろいろな視聴者に楽しさが伝わる作りになっていると感じました。

好きなことは突き詰めたほうがいい!広く浅くよりも、一点突破を!

最後に、コミュニケーション力からは離れてしまいますが、私が妄想トレインを好きな、最大の理由をお話します。

これまでの旅番組は、「タレントの〇〇さんが行く、温泉と美食の旅」のように、あくまで主体はタレントさんでした。
しかし、昨今の状況で旅に出られなくなってしまい、各局がこぞって過去の番組を再編集し、再放送しました。

そんな中、「妄想トレイン」は、限られた条件下で、旅を妄想する新番組としてスタートしたのです。
タレントさんがいるとどうしても、その人のキャラクターがメインになってしまいますが、誰も旅に行っていません。電車にも乗ってないし、美味しいものも食べていません。
スタジオで妄想を膨らませているだけ。言わば、視聴者と同じ立場で、旅や電車について熱く語っている。

本当の意味で「鉄道や旅そのものが主役」の番組になっていると思いました。

実際には行ってないけど、鉄道にグルメ、それぞれ好きなものを妄想しながら、スタジオでガヤガヤ。
今までの旅番組に視聴者が感じていた、「旅、私行けないし」というモヤッとした気持ちも感じない。
スタジオは、私たちの「行ってみたい」という気持ちをひたすら代弁しているだけ。
そこが、新しくて面白いなと私が感じたところです。

そして、カメラの後ろ側にいるスタッフも、鉄道が大好きな人たちなのだなという想いが感じられます。
深い知識や、大好きだという気持ちは、何にも勝ります。広く浅くではなく、深く狭い間口が、入ったが最後、面白さの沼につながっているのだと思います。

現実のコミュニケーションにおいても、突き抜けた知識のある人と話すのは、とても面白いです。「オタク」であるということは、何にも勝る素晴らしい才能だと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。
最後の方は、私の主観を盛り盛りに盛り込んでしまったのですが、最後までお読みいただきありがとうございます。

皆さんも、何かとても好きなものがあって、それを語るとき、ぜひ1枚でいいので写真とともに語ってみてください。
また、主観的に伝える人と、客観的にフォローする人でタッグを組んでみてください。
伝わり方は、飛躍的に変わると思います。

私も、なかなか出かけられないストレスから、旅に出たい願望を満たしたくなり、乗り物オタクの先輩に声をかけました。
そして2人で「乗り物オタクの知識を使って自宅にいながら旅をする」をコンセプトに、5月から個人的にYouTube「テレたび!」を始めました。

そんな中、同時期に始まった妄想トレインを知り、「同じ想いの人たちが!!」と見始めたのがキッカケでした。こうしたら、自分のYouTubeももっと面白いのだなと、番組を見ながら勉強しています。

ぜひ皆さん、妄想トレインと、テレたび!も見てみてくださいね〜。

「友近・礼二の妄想トレイン」番組ページ

 

テレたび!‐先輩と私による、手作り感満載YouTubeです。