“ある男がお店でスープを注文、一口食べると突然青ざめて翌日自殺した。なぜか?”
という「ウミガメのスープ」問題、どこかで聞いたり、誰かとやったりしたことがあるかもしれません。
この良問は、ポール・スローンという作家が90年代に海外で生み出したもので、これを皮切りにこの類の「水平思考パズル」は一時期世界でブームになりました。(ウミガメクイズの解答が気になった人は、ググってみてください)
しかし、60年代の時点で「頭の体操」シリーズ本(多湖輝著)は日本では出版されていて、この手の”あらゆる角度から可能性を想像し答えを導き出す、発想の柔軟性を問うクイズ”は既に存在していました。
そして80年代の終わり頃、この「頭の体操」出典の水平思考問題を、筧利夫さんや勝村政信さんなどの後の有名俳優達の若き頃のおふざけ芝居とともに紹介していたのが「IQエンジン」という深夜のテレビ番組です。
今見ると非常に時代を感じますが、ハイテンションなコント、不思議なCGや音楽の選曲の尖った世界観と水平思考パズルを掛け合わせた伝説の番組であるIQエンジンから、頭の柔らかさを問うユニークな3問を取り上げてご紹介します。
何問解ける?IQエンジンの水平思考パズル
飛ばない鉄砲と猟師とスズメ
ある猟師が1mしかタマの飛ばない鉄砲で10m離れたスズメを撃った。
するとなぜかタマが当たったという。どうしてだろうか?
答えは5つ考えられる。
という問題です。解答は5つ考えられるとありますが、実際それ以上も検討できそうですね。下記動画の、14:33~から該当問題があります。
参考動画
※該当問題は14:33頃~
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答え
鉄砲が9mあった
猟師の腕が9mあった
猟師自身が9mあった
タマが9mあった
スズメが9mあった
が正答例です。
そんなバカな・・ですが、結果からそれが起こり得る状況を色々探ってみよう!といういかにも頭の体操らしい発想の問題だと思います。
このお話の中では「スズメが9mあった」が本当の答えとして、傷を追ったスズメが襲いに掛かる瞬間をオチとして作られています。鼻の下に鼻水を描いてしまっているレベルでふざけている筧利夫さんのキャラの動きと喋り方が見ていて何か気持ち良く、個人的に好きです。
正直ロボと嘘つきロボ
A国からB国への旅の途中、二又の分かれ道があります。
片方はB国への道、もう片方はA国に戻ってしまう道ですが、どちらがB国への道なのか判別できません。
それぞれの道に入口にはガイドのロボットがいて、一回1万円払うと質問ができます。
しかし、
・A国に戻ってしまう道にいるロボットは本当のことしか言わない
・B国に通じる道にいるロボットはウソしか言わない
という状況下で、さらにあなたが知っているロボット語は、
「こちらへ行くとA国ですか?」
「こちらへ行くとB国ですか?」
の2パターンのみです。
この条件の中で、最も安くB国への道を判別するには、どうすればよいでしょうか?
参考動画
※該当問題は14:07頃~
この正直者とウソつきに質問をして道を判別するタイプの問題、やったことがある方もいるかもしれません。ただ、課金の節約だったり、質問内容が限られた2種類しかないことなどが、少し難易度が高くなっているかもしれません。
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答え
今自分が歩いて来た道(A国方面)を指差して「こちらへ行くとA国(or B国)ですか?」とどちらかのロボットへ質問する、です。
A国方面であると自分が知っていることを聞き、回答の真偽を確認すれば、一度の質問のみでB国方面のロボットの判別ができます。
今回の問題を解く鍵として「ウソか本当かの判別」をすべく、既知の事実を質問してジャッジするという本質の部分さえ抑えれば、追加条件が増えても考え方に迷わず済みます。
相手の特性、コミュニケーション内容や回数の制限などなど、何か諸々条件をならべて提示されると、解答の出し方を見失いがちになる場面って、現実世界でも少なくないのではないでしょうか。
何かと情報や条件が多いというと、新しく携帯回線を選ぶ時などに近いことを感じますね。その際に「結局必要な情報は何か」からシンプルに考えることって、結論を出す近道になったりするので重要なポイントですね。
バラバラの点をつなぐ星
上記のように紙に書かれた点A〜Eがあり、これらの点を全て通る星形を描いてください。
という、問題文としてはシンプルな問題です。
参考動画
※該当問題は7:37頃~
普通に考えてみると、なかなか星の形に線を引くことは難しく、ちょっとプラスで発想の転換が必要になります。
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答え
解答は動画だとその形が分かりやすいですが、紙を円筒状に丸めてその上で線を引き星形にする、というものです。
え!用紙丸めるのあり?という声もありそうですが、問題内で特に丸めたり折ったりしてはいけないという縛りも挙げられてはいません。
この辺りも、表に見える提示された条件や状況の前提から疑ってみて、ルール違反にならないギリのラインで、斜めから攻略方法を考えてみるパターンの問題の一つです。
まとめ
我々は義務教育で「1+1=?」のような、見えている要素を習った法則で処理して答えを出す形式の演習を受けてきていますが、これらのような水平思考パズルでは「1+1=3、なぜだろうか?」のように、結果からその原因と可能性について想像力を働かせて探ることが必要となります。
実際の日常生活や仕事では、最初から必要な要素の全てが揃って見えている状況は少なく、水平思考は現実を生き抜く上で活用できる便利なスキルの一つと言っても過言ではないかと思います。
今や、テレビやネットでも水平思考クイズコンテンツは増えてきましたが、その先駆けとも言えるこの「IQエンジン」を観て、使える柔軟な発想法やスムーズな問題解決力を磨いてみてはいかがでしょうか。