Watts Towers 00

最恐のスラム街で咲いた一輪の花!LAのワッツタワーから学ぶDIY精神とタフなマインド

ロサンゼルスにある奇妙な高層建築ワッツタワー (Watts Towers) 、何も持たない一人の男の情熱により生まれた素晴らしい作品です。今回はそんなワッツタワーの誕生における、DIYでタフな心のあり方をご紹介します。(ヘッダー画像引用: https://bit.ly/3kHpj8O)

ロサンゼルスの観光名所、と聞くとどこを思い浮かべますか?

ビバリーヒルズ、ドジャーススタジアムなどよく知られていますが、筆者のオススメは「ワッツタワー」一択です。

こちらコンプトンのワッツ地区にある塔で、地球の歩き方にも掲載の観光名所として知られています。しかしこのコンプトン、一時期は全米での殺人率がトップだったこともある程で血統書付きのスラム街としても非常に有名です・・。(著名なギャングスタラッパーも多数輩出)

そんな末恐ろしいエリアで、とあるおじさんが突然作り始め、たった一人で33年間かけて完成させたのがこの世にも奇妙な高層建築、ワッツタワーです。

今回は、この芸術的建造物の誕生と作者のアツすぎるポイントについて、筆者の解釈を交えながらご紹介していきます。

 

究極のDIY!ワッツタワーがアツすぎる3つのポイント

建築知識・経験ゼロ、足場・電動工具ゼロの身一つで33年間施工

Watts Towers 01

(画像引用: https://bit.ly/2CmYaXk)

筆者がもし今40代で、これから起業など何か新たな事を成そうとするなら、まずはそれまでに培った知識や経験から何を始めるとベストか、という発想でたぶん考え始めてしまうだろうなと想像します。

しかし、ワッツタワー作者のサイモン・ロディアさんは違いました。

齢40を超え、これまで一切やったことのない「塔の建築」を知識ゼロ、経験ゼロで一人でスタートすることを突然決心します。そして、とりあえずその辺から鉄筋やジュースなどの瓶、色鮮やかなタイルなどをかき集め、それら一切合切をセメントで埋込み固めて塔の形にし始めます。

ワッツタワーの全14塔の内で最も高いものは30mを超えていますが、足場なども一切使わず下からよじ登り、電動工具等なしで頂上まで一つ一つ自分の手で塗り固めて形作っていきました。

何もいきなりそこまでアウェイに飛び込みハードモードでゲームスタートしなくても・・。

 

Watts Towers 02

(画像引用: https://bit.ly/30N7sFq)

実物を見るとよく分かるのですが、商品ラベル付きの瓶、ガラスやタイルのかけらなどが無数に細かく表面に装飾されています。

しかし、それは明らかにプロの職人や熟練工の磨き抜かれたスキルによって施された業ではなく、醸し出している雰囲気は、テレビでわくわくさんの工作を見てペタペタ貼り付けてみた幼稚園児のような表情に近いです。これを中年になってから30年以上やり続けた情熱と執念が、もの凄い勢いで塔全体から漂ってきます。

そこまでして彼を突き動かし、この困難なチャレンジである塔の建設に駆り立てた理由もちょっと半端ではなく、常人の想像を遥かに超えるものでした。

「何か大きいことをやると決めた」

Watts Towers 03

(画像引用: https://bit.ly/345d9Rh)

「なぜあなたは塔を作るのか?」そう聞かれたサイモンさんは、

「何か大きいことやると決めた」

と回答、これだけの膨大な時間と労力の掛かることを一人で勝手に始めて、大きいことをやりたかったから、のセリフで済ませているところが最高にクールです。

作ったものを高値で売り抜いて儲けを得るためでもなく、また人を感動させるための歴史的作品を生み出すことを狙ったわけでもなく、何か世の中が良くなるような社会貢献などを目的としてもいません。

最初から決まった目的地などなく、ただ単純に、彼と自身が決めた塔作りというテーマとの戦い以外の何物でもなかったのかもしれないと思います。

NIKEの創業者で、元陸上競技者でもあるフィル・ナイトの本”SHOE DOG”の中で、

 

走る行為そのものがゴールであり、ゴールラインなどない。それを決めるのは自分自身だ。走る行為から得られる喜びや見返りは、すべて自分の中に見出さなければならない。すべては自分の中でそれらをどう形作り、どう自らに納得させるか、なのだ

 

という一文があります。ゴールに向かって走る、というより走る行為そのものが全てという心境、彼の挑戦スタート後はこれに近いものがあったのではないかなと感じます。

 

そして伝説へ・・

Watts Towers 04

(画像引用: https://bit.ly/2CjM8Og)

建設スタートから33年が経った1954年、ついに塔が完成を迎えます。

60年代にはビートルズの名盤「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」のアルバムのジャケットに、サイモンさんの顔が使われるまでの有名人になるなど、彼の活動を称える人達も増えてきます。

しかし、建設中より近隣住民はサイモンさんを変人扱い、この奇妙なハンドメイドの塔へのクレームは殺到しトラブルが多発します。その影響もあって、彼は土地を捨ててワッツから消え、以後二度と姿を現すことはなかったそうです。

全く建築許可なしの建造物だったため、ロサンゼルスの行政がワッツタワーの撤去に動きかけますが、塔を愛する映画・美術・建築関係者の人たちが「ちょっと待った!」で止めに入ります。後の1990年にはついに、アメリカ国定歴史建造物として認定され、取り壊し寸前にして理解者たちによって救われたワッツタワーは、後にロサンゼルスの一大名所になっていきました。

 

まとめ

Watts Towers 05

(画像引用: https://bit.ly/33R2Wrd)

何かを始めるとき、知識がない、経験がない、リソースがないなど出来ない理由を探せばキリがありません。そんな細かい理由は抜きに「自分が決めた大きなこと」である塔の建設にひたすら打ち込んだサイモンさんのDIY精神と鋼の意志に胸を打たれます。

もし機会があれば皆さんもぜひ一度は、本物を拝みに行かれることをオススメします!逆境に立ち向かい、意思を貫き通すタフなマインドの象徴として、あなたにも勇気を分け与えてくれることでしょう。