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普通のホラーは苦手・・という方へ、夏にもおすすめ「人の怖さ」てんこ盛りのスタンリー・キューブリック監督作品でガッチガチに凍りつこう!

夏はホラー!でも貞子とかジェイソンとかはちょっと・・という方へもオススメ、人や社会の現実的な怖さが描かれたスタンリー・キューブリック監督のサイコスリラー名作映画を、まだ観たことがない方向けに少しご紹介します。(ヘッダー画像引用: https://bit.ly/2F8iEUL)

暑い、マスクが息苦しい・・、ここのところ過酷な猛暑日が続いていますよね。
例年の夏であれば、海やプール、キャンプなどで涼みながら楽しむことができますが、今はコロナの影響で、インドアで過ごす機会がどうしても多くなるかと思います。

家に篭って何しようかな、とお悩みの方は、家の冷房に加えて”背筋が凍るような名作映画”で涼しさMAXにして楽しむ、なんて過ごし方はいかがでしょうか。

「でも、ホラー映画は苦手で・・」というそんな方でも大丈夫、今回、リングの貞子や13日の金曜日のジェイソンといったようなホラーとは違う角度で、スタンリー・キューブリック監督作品の人間・社会心理の恐怖を描いた名作をご紹介します。いずれもかなり有名どころですが、まだ観たことがない方へ鑑賞のきっかけになればと思います。

 

スタンリー・キューブリック監督の名作映画の深みのある怖さ

身内の豹変【シャイニング】(1980)

The Shining

(画像引用: https://amzn.to/2DJiZwm)

これまで「シャイニング」を観たことがない方でも、映画の内容以上にこの隙間から覗く見るからにヤバそうなおじさんの顔の認知度が高く、画像をどこかで目にしたことがあるかもしれません。この狂気の顔を捉えるため、たった2秒のシーンでしたが2週間かけて撮影が行われたことでも有名です。

主演のジャック・ニコルソン扮する売れない小説家のジャックが、妻と息子とともに雪山のいわくつき物件のホテル住み込みを始めます。そこで数々の異変が起き、そこに潜む何かと対抗するジャックが豹変し、隔離されたホテルの中でジャック自身が一家を襲い出す、というお話です。

元々家族を守るため戦っているが、次第に本人が家族を襲い始めてしまう。
これは外から何かが彼に憑依したからというより、彼自身の中にある凶暴性が、何かをきっかけとして表に現れているのが、非常に恐ろしい部分だと思います。典型的なホラー映画であれば、幽霊やゾンビ、怪人や怪物といった分かりやすい「敵」が存在し、それらが主人公を脅かしていきますが、家族で本来味方である夫・父親が環境の変化をきっかけに豹変し最恐の敵になる、という部分がなかなかリアルで怖いです。

今の外出自粛の状況下、DVの件数急増などは日々ニュースでも取り上げられています。環境の変化によって、身内が突然脅威に変わる、という状況は決して映画の中の話だけでなく、そんな不安定な人間の心の脆さ、危うさ、恐ろしさを感じることのできる作品の一つだと思います。

 

若者の暴走と政治的弾圧【時計仕掛けのオレンジ】(1971)

Clockwork Orange

(画像引用: https://amzn.to/2DJjbf4)

超絶イケメン!マルコム・マクダウェル扮する主人公のアレックスは、不良グループ率いてドラッグ、強盗、強姦まで躊躇なく何でもやってしまうとんでもない若者です。

ある日捕まり実刑判決を受けますが、刑期の短縮を条件に「ルドヴィコ療法」なるものを受けることになります。この療法、吐き気を催す薬を服用しつつ、大好きなベートーヴェンの音楽と暴力的な映像を強制的に鑑賞させられるというもので、これによりアレックスは一切の悪事と、ベートーヴェンの曲(第九)を受け付けられない状態になってしまう・・、というお話です。

こちら約50年前の映画ですが、現在でも十代の学生が、路上生活者の人に暴力加えて死に至らせるなど、痛みを知らない若者の暴力行為は、依然、深刻な社会問題として存在しています。

ただ、若者暴走行為も怖いのですが、それ以上に矯正するための”暴力もベートーヴェンもまとめて封じ込める”といったような、社会側の過剰な暴力的弾圧も恐ろしいポイントなのです。最近では、香港のデモの弾圧・言論統制がトピックとして挙げられますが、この作品のテーマに通じるところがあるかもしれません。

時計仕掛け=人工物 、オレンジ=自然物という意味合いも含まれており、モラルと自由の狭間で人や社会にとって正しいこととは何かを問うような作品で、深みをもった恐ろしさがあります。

 

パワハラ上司 vsモンスター社員【フルメタル・ジャケット】(1987)

Full Metal Jacket

(画像引用: https://amzn.to/30Gt0Dy)

筆者が、スタンリー・キューブリック作品で最も好きな作品が「フルメタル・ジャケット」です。

米国海兵隊の訓練キャンプ初日、鬼軍曹が最初の挨拶で、この世のありとあらゆる差別用語や悪口の限りを尽くして新人達を徹底的にこき下ろす(プラス殴る)衝撃的なオープニングからスタートします。この鬼のハートマン軍曹役、元々は指導担当だった本物の元軍人のR・リー・アーメイの指導時の演技があまりにリアル過ぎたため、本人が軍曹役に抜擢された、という伝説があります。もし今、新しい職場の初日でこんな上司が出てきたら、次の日に新入社員全員バックレていることでしょう・・最初からパワハラ全開モードの勢いにぞっと震え上がります。

しかし、それ以上に恐ろしいのは、ヴィンセント・ドノフリオ扮するレナード訓練生です。その緩んだ表情から、初日で鬼軍曹に「微笑みデブ」というあだ名を預かり、基本何をやっても他の訓練生よりも出来ない彼は、全体の足を引っ張っていきます。それにより軍曹や同期から虐げられ、ゆるゆるだった彼の人格はみるみると戦争仕様へ変化し、訓練で磨いた銃の腕前を持って復讐を企てていくことになります。映画全体は二部構成なのですが、この辺りの前半のレナードの壊れっぷりが、人間心理、戦争など作品全体テーマを通した恐怖感を引き立てています。

 

まとめ

今回は、スタンリー・キューブリック監督の数ある名作から部分的に取り上げての紹介でしたが、いかがでしたでしょうか。上記いずれも「何かをきっかけに人が変わる」ことの恐怖が描かれていて、ゾンビやモンスターよりもずっと身近に起きそうな事でぞっとしませんか?

そして、ただただ恐ろしいだけではなく、随所に盛り込まれている皮肉的なユーモアとのバランス感や、映像や音楽が非常に美しいところも、筆者が同作品群を好きな理由でもあります。

今はAmazon Prime Videoなどのオンラインサービスなどでも観られるようですので、まだこれまでに同監督作品を観たことがない方、是非この機会に鑑賞されることをオススメします!